事業所のごみ置き場のつくり方|資源物を分けて置く場所と動線|岡山市
古紙や段ボールを分けて資源化に回すと決めても、半年もすると元の混ざったごみに戻ってしまう。その原因は、ルールよりも「置き場」にあることが少なくありません。分けた物を置く場所が決まっていない、置き場が回収車から遠い、品目ごとの区画がない。こうした状態では、忙しい日から順に分別が崩れていきます。
岡山市の条例も、事業用の建築物について、事業系廃棄物だけでなく「再利用の対象となる物」の保管場所を設けるよう求めています。この記事では、市が大規模な建築物に示している4つの基準を物差しにして、中小の事務所や店舗でも使える置き場と動線の作り方を、一般廃棄物と産業廃棄物の両方の収集運搬業許可を持つコウノ産業が整理します。
何を資源化に回すかは事業系一般廃棄物の資源化で処理費を下げる|古紙・食品ごみ・剪定枝、社内に分別のルールを根づかせる進め方は事業ゴミの分別を社内に定着させる方法と削減効果で解説しています。本記事はその間にある「分けた物をどこに、どう置くか」に絞ります。
岡山市の条例は資源物の保管場所まで求めている
岡山市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例(平成6年市条例第32号)の第37条は、事業用の建築物の保管場所について2段構えで定めています。
- 第1項(すべての事業用建築物)… 「事業用建築物の所有者等は、当該建築物又はその敷地内に、事業系廃棄物及び再利用の対象となる物の保管場所を設置するよう努めなければならない」(努力義務)
- 第2項(事業用大規模建築物を建てる場合)… 建設しようとする者は、保管場所を設置しなければならず、あらかじめ市長に届け出る必要があります
条例でいう「所有者等」は、建物の所有者だけでなく占有者も含む言葉です。テナントとして入居している事業所も、自分たちが使う範囲の置き場を考える立場にある、と受け止めておくのが実務的です。
第2項の「事業用大規模建築物」は、大規模小売店舗立地法に規定する大規模小売店舗と、事業の用途に供される部分の延床面積が3,000平方メートル以上の建築物(学校の用途で延床面積8,000平方メートル未満のものを除く)です。該当する建物の所有者等には、減量計画書の提出と廃棄物管理責任者の選任も求められています(条例第35条・第36条)。なお、建物の規模にかかわらず、条例第21条第3項は「事業者は、事業系一般廃棄物を適正に分別して排出しなければならない」と定めています。制度の全体像は岡山市の事業系ゴミ減量義務とは?多量排出事業者の届出制度を解説をご覧ください。
大規模建築物向けの「4つの基準」は中小の置き場にも使える
第2項の保管場所について、岡山市は同条例に基づく「岡山市廃棄物の減量及び適正処理に関する規則」の第23条で、次の4つの基準を定めています。建物を新築するときの基準ですが、中身は「資源化が続く置き場」の条件そのものです。規模にかかわらず、自社の置き場を点検する物差しとして使えます。
| 市が示す基準(要旨) | 自社の置き場で確かめること |
|---|---|
| 収集及び運搬に支障が生じない場所 | 回収車を停める位置から近いか。段差・鍵・時間帯で回収が止まらないか |
| 明確に区分できる | 可燃・古紙・段ボール・缶びんペットなど、品目ごとの区画が見て分かるか |
| 十分に収納できる規模 | 次の回収日までの量が、通路にあふれずに収まるか |
| 衛生的に保管できる | 生ごみの臭いや汁漏れが、隣の資源物に移らないか |
置き場は「手元・中間・引き渡し」の3段で考える
資源物は、出た瞬間から回収車に積まれるまでに何度か移動します。どこで混ざってしまうのかを見つけるには、置き場を3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。
① 手元|出る場所のすぐ近くで分ける
分別の成否はここで決まります。コピー機の横に古紙、給湯室に缶・びん・ペットボトル、荷受け場に段ボール、というように▶ 出る場所に、その品目の箱を置くのが基本です。箱を増やしすぎると守られなくなるので、その場所で実際に出る品目だけに絞ってください。汚れた紙や紙コップのように古紙に向かないものの行き先も同じ場所に用意しておくと、資源への混入が減ります。
② 中間|フロアや部門で集める場所
複数のフロアや部門がある事業所では、手元の箱を回収日まで放置せず、いったん集める場所を決めておきます。よくある崩れ方は、手元では分けていたのに、中間でひとつの袋にまとめられてしまうことです。中間の置き場にも手元と同じ区画を作り、品目名を表示し、誰がいつ運ぶかまで決めておきます。
③ 引き渡し|回収業者に渡す最終の置き場
回収業者が実際に積み込む場所で、市の規則の基準でいえば「収集及び運搬に支障が生じない場所」にあたります。車両を寄せられる位置か、早朝や休日の回収で施錠が障害にならないか。こうした条件で、同じ量でも回収のしやすさは大きく変わります。建物の出入口や前面道路の条件については事業ごみの搬出経路と回収の可否|狭い道路・エレベーターなし物件で詳しく解説しています。
この段階の置き方は、委託先と一緒に決めるものです。岡山市の「事業系ごみ減量化・資源化の手引き」(令和5年3月発行)も、「収集運搬業許可業者又は資源回収業者と分別区分(方法)、収集場所、収集回数、料金等をよく相談し、ごみの減量化・資源化の協力を得ること」を勧めています。
品目ごとの置き方と、区分の違いに注意する点
古紙・段ボール|品目ごとに、たたんで立てる
岡山市は「古紙類は品目ごとに分別する必要があります」とし、「資源化可能な古紙は、市の焼却工場へ搬入することはできません」と明記しています。置き場では、新聞・雑誌・段ボール・OA用紙などの区画を分けておきます。
出し方については、手引きが例として「大きな厚紙や紙箱などは、開いてひもで十字に縛ってください」「小さな紙切れは、雑誌の中に挟むか、透明または半透明の袋に入れ、封をしてください」と案内しています。段ボールは開いて平らにし、立てて置くと場所を取りません。どこまで細かく分けるかは引き取り先によって違うため、置き場の区画を作る前に確認しておくと、作り直しがなくなります。
機密書類|ほかの古紙と分け、施錠できる場所に
個人情報や取引情報が載った書類は、一般の古紙の区画に混ぜないでください。個人情報保護法第23条は、個人情報取扱事業者に対して「その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない」と定めています。処分を待つ間の書類もその管理の延長にあると考え、▶ 施錠できる箱や部屋にまとめ、置いておく期間を短くするのが安全です。岡山市も「機密文書もリサイクルできる業者があります」と案内しています。処分の方法は岡山市の事業者が古紙・機密書類を安全に処分する方法で解説しています。
食品ごみ|資源物と離し、水を切ってから
飲食店の厨房や給湯室から出る食べ残し・調理くずは、古紙などの資源物とは離して置きます。汁が漏れたり臭いが移ったりすると、周りの資源物まで資源化に向かなくなるためです。手引きは生ごみについて「水切りの徹底を」と求めています。岡山市の処理施設に搬入するときの手数料は10キログラムまでごとに180円と重さで決まるため、水を落とすことは費用の面でも意味があります。
なお岡山市は、食品残さについて「食料品製造業などの特定の事業活動に伴う場合は、産業廃棄物です」としています。置き場の容器や回収の頻度は事業ゴミの回収頻度と保管量の決め方|臭い・害虫を防ぐ運用のコツもあわせてご覧ください。
缶・びん・ペットボトル|産業廃棄物として区画を分ける
見落とされやすいのがここです。岡山市は、廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず及び陶磁器くずを「あらゆる事業活動に伴うもの」として産業廃棄物に挙げています。事業所で出た空き缶・空きびん・ペットボトルは、資源になるものであっても産業廃棄物として扱います。同じ「資源物の置き場」でも、古紙(一般の事務所や店舗から出るものは事業系一般廃棄物)と缶・びん・ペットボトル(産業廃棄物)は区分が違うということです。
産業廃棄物には、運搬されるまでの保管にも法律の基準があります。廃棄物処理法第12条第2項は「事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない」と定めています。囲いや掲示板など基準の具体的な内容は産業廃棄物の保管基準|事業所での一時保管のルールと注意点をご覧ください。
区分を分けておく理由は、保管だけではありません。岡山市は、事業系ごみを一般廃棄物と産業廃棄物に適正に分別せずあわせて処理を委託することや、産業廃棄物の処理を一般廃棄物の収集運搬許可業者に委託することは、廃棄物処理法の委託基準違反等により罰則が加えられることになる、と説明しています。置き場の段階で区画が分かれていることが、委託を正しく分ける前提になります。
剪定枝|時期を決めて一時的な場所を
敷地の植栽の手入れで出る剪定枝は、岡山市が再資源化事業者の一覧を公開している品目のひとつです。一年中置き場を用意する必要はありませんが、手入れの時期に合わせて一時的な置き場所と引き取りの日をセットで決めておくと、可燃ごみの袋に紛れ込むのを防げます。なお、植栽の手入れを外部の業者に依頼している場合は、誰が排出事業者になるかで扱いが変わることがあるため、依頼の形も含めて事前に確認しておいてください。
動線を決めるときに外せない2つの注意
避難の通路には置かない
置き場を探していると、廊下の突き当たりや階段の下が空いて見えます。しかし消防法第8条の2の4は、学校、病院、工場、事業場、百貨店、旅館、飲食店、複合用途防火対象物などの防火対象物で政令で定めるものについて、管理について権原を有する者に、「廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理」することを求めています。段ボールや古紙は燃えやすい物でもあります。中間の置き場を決めるときは、避難経路にかからない場所を選んでください。
置き場を決めたら、表示と点検をセットにする
区画ごとに品目名と「入れてはいけない物」を表示し、月に一度は置き場を見て、混入が多い区画やあふれている区画がないかを確かめます。量が変わっていれば、区画の広さや回収の頻度を見直すタイミングです。置き場は一度作って終わりではなく、排出の実態に合わせて動かしていくものだと考えてください。
岡山市の事業所の置き場と回収のご相談はコウノ産業へ
置き場を分けると、次に決めるのが「分けた物をそれぞれ誰に渡すか」です。可燃ごみや食品ごみなどの事業系一般廃棄物の収集運搬を業者に頼む場合は、原則として市町村長の許可を受けた業者に委託します(古紙のように専ら再生利用に回る物だけを集める業者などには例外があります)。この許可は市町村ごとに出されます。産業廃棄物の許可があれば一般廃棄物も運べる、というものではありません。一方で、缶・びん・ペットボトルなどの産業廃棄物の収集運搬を頼む場合も、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託します(空きびんのように専ら再生利用に回る物だけを扱う業者などには、こちらにも例外があります)。
コウノ産業は、一般廃棄物収集運搬業(岡山市第4019号)と産業廃棄物収集運搬業の両方の許可を持ち、岡山市内の事業所から出る事業系一般廃棄物と、岡山県内の産業廃棄物について、許可の範囲内で対応いたします。「この品目はどちらの区分か」「置き場のどこに回収車を寄せればよいか」といった手前の段階からご相談いただけます。まずはお電話かLINEでお気軽にお問い合わせください。
出典:岡山市ホームページ「事業系廃棄物減量計画書等について」、岡山市ホームページ「事業系ごみと資源の分け方」、岡山市ホームページ「事業系ごみの適正分別・適正処理について Q&A」、岡山市ホームページ「事業系ごみ減量化・資源化の手引について」掲載の「事業系ごみ減量化・資源化の手引き」(令和5年3月発行)、岡山市ホームページ「事業系一般廃棄物処理手数料について」、岡山市ホームページ「食品ごみ・事業系古紙・剪定枝の再資源化事業者」。条文は岡山市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例・岡山市廃棄物の減量及び適正処理に関する規則(岡山市例規集)、消防法・個人情報の保護に関する法律・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)によります。内容は2026年9月時点のもので、手数料や取扱いは改定されることがありますので、最新の内容は市の案内をご確認ください。
